これから医学部の受験を目指している現役生・浪人生の方に向けて、浪人生活がどのようなものか、どう過ごすのが生産的なのかをご紹介していきたいと思います
。 浪人生の方は、こちらを参考になさって、成績アップが期待できる生活スタイルを模索してみてはいかがでしょうか。現役生の方は、少しでも「浪人」への不安や恐れを解消していただければと思います。
浪人生が増える仕組み
大学の他学部に比べて、医学部だけ受験生に占める浪人生の割合・浪比率が、突出しているとされています。文部科学省が発表している、「学校基本調査」の結果を見てみると、医学部志願者・合格者とも半数以上が浪人生となっています。大学受験者全体では四分の一ほどしか浪人生はいませんから、医学部の傾向が全体の傾向とは大きく異なっていることが分かるかと思います。
その原因として、現役生が不合格になりやすいことと、浪人してでも医学部に入ろうとする浪人生が多いことが挙げられます。
多くの大学において、医学部は最難関に位置します。大手予備校が公表している、「大学の偏差値ランキング」を見ても、国立大学(公立大学)・私立大学ともに、医学部系の学部・学科の偏差値が他の学部・学科より上であることが一目瞭然の結果となっています。
1年や1年半、高校生活を送りながら受験勉強をしただけでは、厳しい競争を勝ち抜けないケースがきわめて多いということになります。浪人生は学校生活がないので、活動しているすべての時間を、受験勉強に投じていることが当たり前になっています。これでは、現役生が不利になるのも仕方がないのではないでしょうか。
また、他学部であれば、不合格になっても「滑り止め」の大学・学部に、現役で入学したいと考える学生が多いものです。もう一年厳しい受験勉強と多額の学費を支払うモチベーションが湧きづらいということになります。それに対して、医学部の場合は、医師になれた場合の金銭的・社会的なメリットの大きさがはっきりしています。
大学の学費・費用面では高いのですが、それでも行きたい!と考えられるぐらい、将来が期待できる可能性が高い専門職が医師なのです。浪人してでも、医学部に入ることのメリットの方が大きいと考えられているのです。そのため、医学部志願者に浪人生が増える、という結果につながっています。
一浪・二浪は当たり前の世界?
学校基本調査から、医学部受験生の年齢より何浪しているかを推測すると、志願者のうち3割ほどが現役生、3割弱が一浪、二浪が1割強、三浪以上が2割ほどとなっています。全学部の志願者のうち、二浪以上はたったの5%ほどしかいません。これを踏まえて、医学部に合格するためには浪人が当たり前であることがうかがえます。
医学部に合格するための道が長く険しいものであることが、ご理解いただけたかと思います。現役のうちから、しっかり勉強することはもちろんですが、不合格になってもくじけず、こつこつと勉強を続けるメンタルの強さが問われます。それが医学部受験の難しさと言えるでしょう。
浪人生活の傾向と対策
浪人生には、学校はありません。実際には予備校や塾に通うケースがほとんどですから、高校のように朝登校して、夕方から夜に帰宅する生活になるかと思います。しかし、学校での授業とは異なって、受験勉強だけに集中できる生活スタイルであるといえるでしょう。
そうはいっても、宅浪と呼ばれる人たちは、その分「だらけて」しまいやすい環境にあることがデメリットになります。予備校や塾以外の時間はプライベート時間で自由に使えますし、一人暮らしであれば他人の干渉がグッと少なくなります。その反面、一人の家庭生活では自己管理がしづらくなり、モチベーションが続かず、学力の低下を招き、不合格を繰り返してしまう……ということにもつながりかねません。
こうした問題を解決するために、最近の予備校や塾では「カウンセリング」などで、生徒の生活相談や学習進捗の管理を行ってくれることが増えています。孤独になりがちなメンタル面でのサポートをしてくれる一方で、だらけてしまいがちな心に「活」を入れる役割も果たしています。勉強だけではなく、予備校・塾のこうした機能をうまく使えると、勉強のはかどり具合が、ぐっとよくなりますよ。
多浪をしないための予備校選び
多浪をしないためには、「正しい努力」を重ねることが必要不可欠であるとされています。 「正しい努力」とは、勉強の質×勉強の量で定義できます。
志望校に合格するために適切な勉強方法で、入試に必要な分を勉強することで、合格に近づけるわけです。
その一方で、多浪する人は勉強時間が圧倒的に足りていないか、勉強の方法が間違っているかのどちらかだといえます。
間違った努力を避けて、正しい努力を積み重ねるためには、そもそも自分の学習スタイルが正しいのかどうかを客観的に把握する必要があります。
つまり、多浪をしないための予備校とは、学習カウンセリングが充実していて、生徒の学習スタイルを正しい方向に導いてくれるようなところ、ということになるのではないでしょうか。
その上で、「現役生に強い」などのキーワードを基に予備校・塾選びをするとよいとされています。中には、浪人生専門や現役生へのフォローが弱いところもありますから、現役生や一浪目の人は避けた方が無難ですね。ご自身に合った、特徴の予備校・塾選びをおすすめします。
正しい努力で結果を生み出すために
医学部受験は、二浪・三浪も当たり前という厳しい世界です。他の学部を受ける友人・知人より長く苦しい受験勉強生活が続くことも、覚悟する必要があるのではないでしょうか。
しかし、志望大学に合格して、無事に大学生活を過ごし、その後の医師国家試験にも合格すれば、それまでの苦しさを取り返すだけの資格を所有できるという、メリットが待っています。
予備校や塾を上手に活用して、「正しい努力」を積み重ね、入試に望み合格を掴み取ってくださいね!