医者になるために必要な条件とは
医者になるために大前提となるのが「医師免許の取得」です。
医師免許は「医療行為を行ってもいいですよ」と国に認められた国家資格で、取得するには国家試験に合格することが求められます。
ただし医師国家試験は医学部を卒業した人の9割が合格すると言われています。つまり医学部を卒業できれば、医者になれることはほぼ確実ということ。
むしろ医者になるために最も重要な条件は「医学部に入学して、ちゃんと卒業する」ということになります。
医者になるまでの大まかな流れ
全国には国公立、私立大学ともに医学部を設けている学校が、およそ80校あります。
ただし他の学部と異なり、医学部は大学によって受験科目や必要とされる学力、学費等の条件が大学によって異なるため、どの医学部を狙い、合格するためにはどの教科や単元に力を入れるべきか、考えながら勉強することが最初のポイントとなります。
医学部に入学すると、6年間かけて座学と実習で医療従事者に必要な知識を身につけた上、医師国家試験を受験します。
みごと医師免許を取得したら、今度は2年以上病院で研修医としてさまざまな診療科で臨床経験を積むことになります。
研修期間は義務化されているので、医者になる人は必ず通る道。ハードな研修医生活をクリアすれば、はれて1人前の医者に!
通算すれば、高校から現役合格で医学部に入学して医者になれるまでには、最短で8年間かかります。
最短8年で医者になるのに、今できること
医者になるのに、最短でも8年かかってしまうのが辛いところ。仮に、浪人したとしたら医者になるのに約10年の歳月を要することになります。医学部受験に特化した予備校に通い、受験合格を確実なものにしていくのが重要です。
個人では知りにくい出題傾向や最適な志望校の提案、スケジュール管理など、幅広く対応してくれるのでおすすめです。下のボタンから戦略的な医学部受験に定評のある予備校を紹介しているページに移動できます。受験は頭脳戦。効率よく勉強して、確実に医学部に入学しましょう。
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医学部受験を突破するための戦略
医者になるための最新情報
医師不足が加速?その理由は?
医師国家資格は一生ものであり、厚生労働省統計によれば国内の医師数は32万人を超えているにもかかわらず、全国の地方自治体では深刻な医師不足で地域医療が崩壊するケースが増加しています。実際、熊本県の介護老人保健施設では、条例で義務づけられた常勤医師を確保できていなかった2018年2月~5月の間に、11人の入所者が亡くなっていたことが判明するなど、痛ましい事件も起こっています。
このような医師不足の原因として最も大きなものが、大都市圏への医師の一極集中です。
人口が多く、最新・最先端の医療技術や医療機器などが集まりやすい大都市圏で医師として勤務を希望する人が多い反面、どうしても過疎地域を敬遠してしまう医師は少なくありません。このため、エリアによっては深刻な医師不足が生じやすくなっています。そしてその結果、医師不足による地域医療の崩壊によって健康面で不安を抱いた人が他地域へ流出したり、転入者が減少したりするという、悪循環につながっています。
また、医師が不足することで、すでに勤務している医師が対応しなければならない患者数が増えるため、医師1人あたりの負担が激増し、より働きやすい環境を求めて過疎地を去る医師が増えているという現状も問題です。
厚生労働省や総務省ではこのような事態を打開しようと、医師の困難が難しくなっている地域の公立病院を対象として、財政措置を拡充していくなどの方針を打ち出しています。
医者を志望する人が増えている?
近年はますます出生率が低下し、極端な少子高齢化が進んで各大学が生徒集めに奔走する一方、医学部を志望する受験生は基本的に増加していることが特徴です。
具体的な数字を挙げれば、1990年代後期には約9万人とされていた医学部志望者は、2018年までに13万人程度に増加し、日本全国の医学部定員数が約9,000人であることを考えると、その倍率はおよそ14倍以上という大人気ぶりがうかがえます。
2017年度と2018年度のそれぞれの医学部における志望者数を比較すると、例えば福井大学の後期日程では、2017年度の志望者数266人に対して2018年度志望者数は466人と75%増、私立では日本大学(N方式第1期)の増加率が特に顕著で、2017年度に200人だった志望者が2018年度に522人にまで増加しました。ただし、一般的に医学部受験では、前年度に志望者数の多かった医学部では志望者数が少なくなりがちで、前年度に志望者数の少なかった医学部では増加しやすいという「隔年現象」の傾向があります。また、センター試験の難易度も、国公立医学部の志望者数に影響する要因です。
その他、2018年には複数の医大で不正入試が発覚しましたが、当然ながら不正入試が発覚した大学では志望者も激減しました。しかしその分、他の医学部へ志望先を変えた受験生が増えたと考えられ、トータルで見ると医師を志す人は依然として増加傾向といえるでしょう。
医学部に入るための方法 編入・転部とは?
医学部受験に失敗してしまった人にとって、再び医学部への入学を目指す一般的な方法は、浪人生や仮面浪人として過ごし、1年後に再受験へチャレンジするやり方です。
しかし、実はその他にも医学部へ入学する方法が存在します。それが「編入」と「転部」です。
編入とは、医学部以外の大学や学部を卒業した人が、編入試験に合格した後、改めて医学部に途中の学年から入学する方法です。学士編入では医学部の2年次や3年次から再スタートする場合が多く、医学部で過ごす期間を短縮できるというメリットもあります。また、編入では国公立の医学部場合でもセンター試験が不要で、出題科目も英語や理数系に限られる場合が多い点も特徴です。
ただし、編入試験のレベルは通常の医学部入試と比較して同じかそれ以上と、医学部予備校で本気で勉強をしていなければ合格は難しいとされています。加えて、そもそも編入は定員数が少なく、医学部によっては倍率が20倍や30倍というケースも珍しくありません。
その他、国公立の医学部では編入制度を実施している大学が多い反面、私立校はあまり編入に積極的でないという特徴もあります。
もう一つの転部は、ひとまず医学部のある大学で何かしらの学部に入学した後、改めて同大学の医学部へ籍を変更する方法です。
編入よりもさらにレアケースの抜け道ですが、仮に転部に失敗しても元の学部に籍を残しておけるため、卒業後に改めて再受験や編入にのぞめる点がメリットです。
ただし、転部を成功させるには、そもそも医学部への転部を制度として設けている大学を選ばなければなりません。また、基本的に学内で首席クラスの成績をキープしておかなければならず、実際の難易度はかなり高めです。
いずれにしても、医学部進学では高い学力が欠かせません。そのため、医学部予備校などで効率的な学習方法をマスターし、基礎学力や専門知識の習得に慣れておくことは有効な手段といえるでしょう。
アンケート結果から見る医学部の勉強
現役医師300名に聞いた「医学部合格にはどんな取り組みが有効か?」
現役医師が答える医学部受験アンケート
ある医学部専門予備校が、現役の医師300名を対象に、医学部受験に関するアンケート調査を実施しました。医師たちに対し、自身の受験勉強を振り返ってみて「どんな取り組み、実践が合格に有効か?」という率直なアンケートです。
300名の医師から得られた回答の上位3位は、次の通りでした(複数回答)。
1位 「集中できる学習環境を確保する」
2位 「基礎を徹底して固める」
3位 「規則正しい生活をする」
医学部受験を志す方々にとって、少し拍子抜けする回答かも知れません。多くの受験生は、「難問に対応できる実践力・応用力を養う」「出題傾向に合わせた勉強をする」などの回答が上位を占めると思ったのではないでしょうか?
もちろん、応用力も志望校対策も、医学部合格には非常に有効なプロセスです。しかしながら、集中できる学習環境や規則正しい生活をベースに置かなければ、いかに志望校対策を徹底しようとも、思ったような成果は得られないかも知れません。少なくとも現役医師の大半は、そのように考えています。
上位3位の要素を満たす環境とは?
では、現役医師が語る「集中できる学習環境」「基礎の徹底」「規則正しい生活」を実現できる環境とは、いったいどのような場所なのでしょう?
たとえば、自宅にこもって独学で受験勉強を進めたとしても、周りにはさまざまなものがあります。自分では勉強に集中しているつもりでも、実際には意識が散漫になっていることが多いでしょう。
また、独学で基礎固めをすることは、非常に難しいとされます。なぜなら、少し理解できただけで「もう大丈夫」と自己判断し、すぐに応用編へと進みたがるからです。基礎が大丈夫かどうかは、自分が判断するものではなく、他人に客観的に判断してもらうものです。
さらに、独学で「規則正しい生活」を送ることは、極めて困難と言わざるを得ません。勉強に乗っているときは、無理をして深夜まで問題集を解くこともあるでしょう。その結果、翌朝は寝坊。寝坊した結果、さらに夜型が進むなど、およそ規則正しい生活とはかけ離れた日常になる可能性が大です。
受験勉強以外にやるものがない環境の中で、自分の基礎力を客観的に判断してもらい、なおかつ毎日決まった時間で過ごすことを強制される場所。そんな場所は、医学部専門予備校以外にないでしょう。
独学では長く苦しい戦いでも、予備校にいるだけで安定した気持ちのまま受験勉強を進めることができるはずです。
予備校という場所を最大限に活用する
医学部専門予備校には、何より同じ目標を持つ仲間がいます。折れそうになったときに励ましてくれたり、やる気が湧いてきたときに自分と競ってくれたりなど、予備校の中に大切な仲間・ライバルたちがたくさんいます。
同じ目標のもと苦楽を共にした仲間は、きっと、一生涯の大切な友人となるでしょう。医師になってからも相談できるような大事な宝となるはずです。
また、医学部専門予備校の講師たちは、他の一般的な予備校講師と比べ、異質です。お金のために仕事をしている講師は、一人もいません。目の前の生徒を医学部に入れるために、人生の全情熱を本気で注ぐ(良い意味で)変わり者ばかりです。それら講師の姿勢は、医師というハードな仕事を続けていく上で、きっと様々なヒントとなることでしょう。
今一度、300名の現役医師たちが「合格に有効」と回答した取り組みを振り返ってみてください。「集中できる学習環境」「基礎の徹底」「規則正しい生活」。これら条件を満たしてくれる場所は、予備校以外にあるのでしょうか?
医学部専門予備校という場所を最大限に活用し、最短距離での合格を目指していきましょう。
医師からの医学生へのメッセージ
徳州会湘南鎌倉総合病院 関根一朗医師
(医師になったきっかけ)
私が小学生の頃、教師をしていた両親が発達障害の子どもに接する姿を見て、もっと何かできることはないかと考えていました。そこで小児科医になり、発達障害の子どもが生活しやすい環境を作りたいと思ったのがきっかけです。
(初期研修で学んだこと)
救急総合診療科で研修している時に、一度だけ患者さんにクレームを受けたことがあります。当院の内科に通っている高齢の方が、時間外に救急外来を受診しました。特に主訴はなかったのですが、私はなぜこの時間に受診しようとしたのかを聞き出そうとしました。その後、当科の責任者に「厳しく問い詰められた」と患者さんの家族から意見がありました。これを聞いて、患者さんの抱える不安に配慮できなかったことを反省しました。
(へき地研修で学んだこと)
喜界徳洲会病院(鹿児島県)で研修しましたが、初期研修時から比べてだいぶ余裕が出てきたので、“島民になること”を自分のなかのテーマにして臨みました。休日は集落を自転車で回り、患者さんの生活を見て、感じていたのですが、これが診療の際にも役立ちました。重度の感染症で入院した患者さんが退院した後、自宅を訪ねたことがあります。病院で見た姿とは全く違い元気に過ごされていて、入院中の姿などひとつの側面だけで患者さんを評価してはいけないと感じました。
引用元:徳洲会グループ公式HP「No.01『人にやさしい医師になってください』湘南鎌倉総合病院 関根一朗 医師」
https://www.tokushukai.or.jp/recruit/resident/message01.php
医学部進学を果たし6年間の修学を経て初期研修へと入った関根医師。主訴なく時間外に受診した患者さんへの対応をきっかけに、患者さんの気持ちに寄り添うことの大切さを痛感したそうです。
受験勉強をする過程の中で「患者の気持ちに寄り添う」と言われても、なかなかピンと来ないかも知れません。そんな時には、近くにいる先生方の「受験生の気持ちに寄り添った献身的な姿」を見てください。きっと医師になったときに役立つ大事な後ろ姿となることでしょう。
(今後の目標)
湘南地域の小学校でBLS(一次救命処置)を普及させること。できれば運動会などの学校行事でBLSを取り入れていただき、これをロールモデルとして日本全体に広げていきたいと考えています。このために、今は地域や学校に出向き医療講演などをして、つながりを作っているところです。テーマは応急処置が多いのですが、なかには危険ドラッグについて講演してほしいという要望もありました。
当院の救命救急センターは、重症患者さんだけでなく、軽症の患者さんでも安心して治療を受けられる場所にしたいです。小児救急の視点からは、“子どもの泣き声が聞こえない救命救急センター”を目指しています。病院は怖い場所だと“医療トラウマ”を作らないように、やさしい医療を実践していきたいです。
引用元:徳洲会グループ公式HP「No.01『人にやさしい医師になってください』湘南鎌倉総合病院 関根一朗 医師」
https://www.tokushukai.or.jp/recruit/resident/message01.php
個人的に考えている「小学校でのBLS」の導入をローモデルとし、日本全国へと普及させていきたいと語る関根医師。夢を語るだけではなく、すでに実際に講演などを通じて具体的な活動を行っているとのことです。
現実として、一介のサラリーマンに日本全体を変える力はありません。しかしながら、一介の医師には日本全体を変える力があります。受験勉強を苦しいと感じたときには、「自分の力で日本を変える」との壮大な夢を描いてみてください。きっと、目先の苦労が軽く感じられるはずです。
(学生に対するメッセージ)
患者さんにやさしい医者になってください。これから診断や治療の分野でAI(人工知能)が導入されていくと思います。このような時代に、医師が専門性を出すとしたら“人間性”がとても大切になってきます。患者さんの心情や生活背景などにも思いを馳せられるような、やさしい医者になっていただきたいです。
引用元:徳洲会グループ公式HP「No.01『人にやさしい医師になってください』湘南鎌倉総合病院 関根一朗 医師」
https://www.tokushukai.or.jp/recruit/resident/message01.php
理系である皆さんは、たとえ目指す道が医療であれ、将来的なAIの急速な普及をリアリティの中でイメージすることができることでしょう。AIが診断しAIが治療する、という時代が、やがて到来するかも知れません。
しかしながらAIに治療してもらう目の前の患者さんは、AIではありません。心を持った生身の人間です。だからこそ、いかにAIが進化しようとも、医師という心を持った生身の人間の仕事はなくなりません。豊かな人間性こそが、医師にとってより大事な時代へとなっていくことでしょう。
関根一朗先生が受験生・医学生に伝えたいこと
関根医師からのメッセージには、一貫してやさしさが感じられます。受験生の皆さんも、きっとそれを感じ取ったことでしょう。もともと医師になるきっかけが、発達障害の子どもたちに接するご両親の姿だったという関根医師です。生来、心のやさしい方なのかも知れません。
医師という仕事は、言うまでもなく高度な知識と技術を要求される仕事。なおかつ、急速な進化を続ける医療技術を前に、医師は立ち止まることができません。勉強し続ける努力を怠った瞬間、医療の世界から一人取り残されてしまう可能性があります。そのような極めてハードな医師という仕事の中で、もっとも大切な要素が「患者に対する思いやり、やさしさ」と断言する関根医師。一言で言えば、患者に対する愛情が大切であると、関根医師は語っているのでしょう。今、塾で指導している先生方の顔を思い浮かべてみてください。生徒に対して全力で愛情を注いでいる先生は、きっと生徒たちから厚い信頼を集めているはずです。そうでない先生は、あまり生徒から頼りにされていないでしょう。医師の世界でも同じです。他人に対する愛情があればこそ最高の仕事をできるのだと、関根医師は伝えたいのではないでしょうか。
佐世保市総合医療センター
研修医時代で印象に残っているのは、学んだ『こと』というよりは、そこで聞いた指導医の話と指導医の振る舞いだったりします。第一線の先生が日々何かの答えを出して、診療をしている。指導医がどこを見て判断し、どのような患者に話しているのか、なぜその治療を選んだのか、逆に選ばなかったのか。その為には指導医も規範となるように努めなければなりません。指導することが一番成長するとはよく言ったもので、お互いに高め合える関係が理想だと思います。
正直言えば、研修医時代に習得したものがその後の医師人生でそのまま使用できる部分は少ないかもしれません。だから、もっと普遍的な部分、習得に至るプロセスを学んでほしいです。最終的な選択は間違っていたら直せばいいし、時代によっても変わってしまう事もあります。でも、判断の根拠を探していく作業は大きく変わるものではありません。
引用元:佐世保市総合医療センター公式HP「医学生の皆さんへ指導医よりメッセージ」腎臓内科診療科長・中沢将之先生
http://www.hospital.sasebo.nagasaki.jp/news/sidoui-message/
「正直言えば、研修医時代に習得したものがその後の医師人生でそのまま使用できる部分は少ないかも知れません」と率直に語る中沢医師。だからこそ研修医には医師の姿勢など、より普遍的なものを学んで欲しい、と語ります。
さきにご紹介した徳洲会グループの関根医師は、「医師にとって思いやり、やさしさがもっとも重要」と語りました。まさに中沢医師が言う「普遍的なもの」です。たとえ環境は違えど、医療を真剣に追求する医師たちの中には共通の気付きがあるようです。
研修医にとって私が今思う大事なことが2つあります。
一つ目は何度も患者さんとコミュニケーションをとり指導医よりも患者さんと仲良くなることです。そして、患者さんのプロブレムリストを指導医よりたくさん気付くよう努力しましょう。主病名に関わることのみならず、問診や診察でわかることもあるし、もしかしたら指導医には言っていない患者さんの悩みを打ち明けてくれるかもしれません。その中で発生した疑問を指導医とのディスカッションやカンファランスで解決していく。そのため当院では、カンファランスやミニレクチャーを充実させています。
二つ目は、研修医室ではなく、病棟になるべくいることが重要です。長くいると、多くのスタッフのことを覚えチーム医療がとても行いやすくなります。以前ローテートしてきた研修医室に「この1週間で看護師10名の名前を覚えるように」と課題を出したことを思い出しました。患者さんやメディカルスタッフから信頼を得るよう努力する、そんなみなさんと一緒に診療できる日を楽しみに待っています。
引用元:佐世保市総合医療センター公式HP「医学生の皆さんへ指導医よりメッセージ」リウマチ膠原病内科診療科長 兼 糖尿病内分泌内科医長・野中文陽先生
http://www.hospital.sasebo.nagasaki.jp/news/sidoui-message/
研修医に対し、野中先生は現場にいることの大切さを訴えています。研修医室ではなく、なるべく多く病棟の現場に足を運び、患者と多くのコミュニケーションを取って本当の訴えを拾うこと。また、他の医療スタッフとのチームワークの大切さを学ぶこと。研修医にとって、この2点が大事であると伝えています。
研修医と聞くと、少しでも多くの手技を覚え、かつ医療機器の使い方を覚えることが仕事というイメージがありますが、そうではないようです。医師である前に人としての基本を学ぶことが研修医の仕事、と野中医師は考えているようです。
当科の研修は、基本的に一人の指導医のもとで担当患者の治療を行いながら研修を行います。手術適応判断含めた初期対応、周術期管理を行っていく中で、縫合、結紮、CVカテーテル確保など外科手技の修練を行います。修練の習熟度によっては、手術の第1助手、指導医の下でCVポート留置、腸管吻合や虫垂炎の執刀などの機会もあります。
また、学会への参加や、長崎大学と連携したDry/Wet/Animal Labo Trainingも行っています。外科スタッフは分野、キャリアのバランスがとれており、なんといっても外科全体の雰囲気よく、スタッフと研修医で慰労会やレクレーションを不定期に頻回に行っています。
引用元:佐世保市総合医療センター公式HP「医学生の皆さんへ指導医よりメッセージ」消化器外科医長・荒井淳一先生
http://www.hospital.sasebo.nagasaki.jp/news/sidoui-message/
研修医が学ぶ具体的な知識・技術を紹介している荒井医師。抽象的な内容を聞くよりも、医学部受験生にとっては強いモチベーションにつながる説明かも知れません。
そんな荒井医師ですが、やはり最後には「外科全体の雰囲気」「スタッフと研修医の慰労会やレクレーション」といった具合に、具体的な研修内容とは異なる話題でメッセージを締めています。
荒井医師ももちろんですが、他の先生たちも含め、医師という職種の人たちには人間性の豊かなタイプが多いような気がしてなりません。
佐世保市総合医療センターの先生たちが受験生・医学生に伝えたいこと
佐世保市総合医療センターで研修を担当している3人の先生たちのメッセージをご紹介しました。最後にご紹介した荒井先生のメッセージの中には、「CVカテーテル確保」「CVポート留置」「腸管吻合」など、受験生には分かりかねる専門用語も並んでいます。まだよく分からない言葉を目にすると、医師を目指す受験生としては、そこはかとなくドキドキしてくるのではないでしょうか?
その一方で、すべての先生たちの底辺にある共通点に気付いた受験生も多いことでしょう。どの先生も、医療とは異なる「人間性」の部分を大切にしている点です。
医療技術と人間性は、直接的には関係ありません。しかしながら、高度な医療技術を的確に行うためには、その背景に豊かな人間性が必要であることを、3人の医師は示唆しているかのようです。徳洲会グループでご紹介した関根医師の姿勢と大いに重複します。
日本医科大学循環器内科学 循環器内科主任教授・清水渉先生
循環器疾患はガンに続く本邦第2位の死亡原因であり、現在も増え続けている疾患です。循環器疾患と一口に言っても、不整脈、虚血性心疾患(心筋梗塞や狭心症など)、弁膜症、心筋症、先天性心疾患、心不全、大動脈疾患、末梢血管疾患など多種多彩な病態を含みます。また、心臓は脈管(動脈・静脈・リンパ管)を介して全身のすべての臓器と繋がり、あらゆる臓器の疾患にも関連します。このような多種多彩な循環器疾患を取り扱うには、生理学だけでなく、解剖学、生化学、薬理学、分子生物学などのあらゆる知識を総動員しなくてはなりません。言いかえれば、循環器病学にはそれだけ多くの基礎および臨床の研究テーマがあるわけです。
引用元:日本医科大学循環器内科公式HP「研修医・医学生に向けてのメッセージ」
https://www2.nms.ac.jp/nms/cvm/resident/message.html
医学部に限らず日本の受験生は、「受験のための受験勉強ばかりやっている」と他国の受験生から揶揄されることがあります。
確かに、日本の受験生自身、目先は受験のための受験勉強に感じられるかも知れません。しかしながら、目先で勉強している生物や化学、数学、英語、国語などの学力なくして、清水先生がコメントしている生理学、解剖学、生化学、薬理学、分子生物学を正しく理解することはできません。
日本の受験勉強は、受験のためだけの勉強ではありません。医師にとって必要不可欠な勉強です。堂々と胸を張って受験勉強に邁進しましょう。
また循環器疾患の大きな特徴の一つは、心臓が一生の間絶え間なく拍動し続けているように、その病態が時々刻々とダイナミックに変化することです。このため、循環器内科医には瞬時の正確な判断力が求められ、その技量次第で患者さんの状態が大きく左右されます。さらに、循環器内科は、急性心筋梗塞、重症心不全、重症不整脈、急性大動脈解離などへの急性期治療から、慢性期治療、心臓リハビリテーション、循環器疾患の原因となる生活習慣病への介入などシームレスな治療を通じて患者さんと長く向き合っていける診療科です。内科医でありながら虚血性心疾患に対する冠動脈血行再建術(PCI)、各種不整脈に対するカテーテルアブレーション・デバイス治療などの侵襲的・専門的な手技を身につけることができるのも循環器内科医の醍醐味です。また、心臓血管外科、放射線科、麻酔科、看護師、臨床工学士、薬剤師とハートチームを構成し、チーム医療で患者さんを治療するという共通の目標に向かっていけるのも魅力の一つです。私自身、医学部の学生時代からこのような循環器病学の魅力にひかれ、迷うことなく循環器内科医の道へと進みました。
引用元:日本医科大学循環器内科公式HP「研修医・医学生に向けてのメッセージ」
https://www2.nms.ac.jp/nms/cvm/resident/message.html
さまざまな診療科の医師と協力しながら、さまざまな分野の知識・技術を身に付けていくことができる循環器病学という分野。「迷うことなく循環器内科医の道へと進みました」と語る清水先生は、きっと幅広い知識欲を持った受験生・医学生だったことでしょう。
医師という仕事は専門職でもある一方、総合的な知識や人間性が必要とされる仕事。スペシャリストであると同時に、ゼネラリストの要素も求められるということです。清水先生の姿勢は、多くの受験生・医学生に対して「あるべき医師の姿」を教えているかのようです。
最近の循環器内科は、新3K、すなわち、きつい・厳しい・帰れない診療科と言われていると 聞きます。しかし、医師を志した諸君は、誰もが患者さんを救いたい・治したいと思って医学部へ進学したはずです。患者さんを救いたい・治したい、また、それを実現するための世界的な研究をしたいという熱い情熱のある諸君は、是非、循環器内科の門をたたいてください。
引用元:日本医科大学循環器内科公式HP「研修医・医学生に向けてのメッセージ」
https://www2.nms.ac.jp/nms/cvm/resident/message.html
循環器内科は「新3K」と言いつつも、それを最後まで否定していない清水先生。全国的な医師不足の現状、循環器内科に限らず、どの診療科も「新3K」であることに間違いないでしょう。
今、受験勉強をキツいと思っている受験生が多いかも知れません。しかしながら医学部に入学すると、もっとキツい6年間が待っています。医師になれば、さらにキツい毎日で一生を過ごすことになります。
この現実をしっかりとイメージし、覚悟を決められる精神力。その強い精神力がある人は、きっと次の受験をクリアできることでしょう。
清水渉先生が受験生・医学生に伝えたいこと
引用した清水先生のメッセージの大半は、研修医になってから学ぶ具体的な内容です。しかしながら、清水先生が本当に伝えたいことは、そこではありません。締めのコメントで見られる「医師を志した諸君は、誰もが患者さんを救いたい・治したいと思って医学部へ進学したはずです」という言葉こそ、清水先生が受験生・医学生に伝えたいメインテーマでしょう。
あなたは今、何をモチベーションにして長くキツい受験勉強を支えていますか?「親のクリニックを継ぐため」「医者になったらカッコいいから」「お金持ちになりたいから」などの表面的なモチベーションしか持たない受験生には、多浪の道が待ち受けているかも知れないので注意してください。
医師になる目的はただ一つ。清水先生が言うように、患者さんを救うこと、患者さんを治すことです。それ以外に医師になる目的は一つもありません。
将来、自分が診療している仮想の患者さんの顔をイメージしてみてください。そして、「治したい」という気持ちを強く持ち、実際に治って笑顔で退院していく患者さんの顔を、色付きで具体的にイメージしてみてください。その仮想の患者さんの笑顔こそ、きっと長くてキツい受験勉強の大きな支えとなることでしょう。
医者になるためのQ&A
手先が器用でないと医者になれない?
Q.医者になりたいです!不器用でも大丈夫ですか?
医学部を志望して勉強していますが、周りから「あなた不器用なんだから難しいんじゃない?」と言われるほど手先が不器用です…。医者は人の命を預かる仕事なので不安です。不器用でも医者にはなれますか?
A.答えはイエスです。
現実的な話、不器用でも医者になって活躍している人はたくさんいます。もともと不器用だった医者はこの世にごまんといるので、手先の不器用さだけで医者になりたい気持ちを捨てる必要はありません。
どんな医者でも、毎日血のにじむような努力を積み重ねて、手術で執刀できるほどの腕を磨いています。それこそ精肉店で豚肉のブロックを購入し、練習する人がいるほどです。もともと器用な人でも最初から手術ができる人なんていません。不器用であるという自覚があるなら、人一倍練習すれば良いだけの話なのです。
一方で、どうしても手先の器用さが求められる診療科目があります。それが形成外科や美容外科です。ミリ単位の手術を担当することもあるため、患者さんの大切な体を誤って傷つけないように細心の注意を払わなくてはなりません。
今後あなたがどの分野を専門にするのか未来のことはわかりませんが、もし形成外科や美容外科の道に進むなら、人一倍努力する姿勢を大切にしてくださいね。
裕福でないと医者になれない?
Q.お金持ちじゃなくても医学部に進学できますか?
幼い頃に病気をして入院したことがあり、それから医者になりたいと思うようになりました。勉強が大変なのはわかっているのですが、うちはお金持ちの家ではありません。それでも医学部には進学できるのでしょうか?
A.裕福でなくても医者にはなれます。
医学部に進学するとなれば、莫大な学費がかかるのではないかと心配される学生さんが多いのですが、そんなことはありません。
私立大の医学部は多額の学費が必要になることもありますが、国公立の大学であれば文学部や理学部などと比べても大きな差はありません。年間50万円程度の学費で通い、医者になった人はたくさんいます。ただ、国公立大の医学部は学費が安いこともあって倍率が高くなり、合格するには狭き門です。「医者になりたい」という意志を強く持ち、粘り強く勉強する姿勢が大切になってきます。
一方で、特定の条件がつくものの授業料を全額免除してもらえる大学がいくつかあり、その大学へ進学するという手も。自治医科大学・産業医科大学・防衛医科大学校などであれば、卒業後はへき地医療に従事したり産業医として働いたりすることで全額免除の対象になれます。
その他にも奨学金制度を利用するといった方法で医学部への進学は可能なので、お金がないからといって夢をあきらめなくても大丈夫です。
医者になるのは難しい?
Q.医者という職業に興味を抱いていますが、私でもなれますか?
人の体の仕組みに興味があり、医者はやりがいのある職業なのではと考えています。けれど、人の命を救いたいというような強い想いを抱いているわけではありません…。そんな私が医学部を受験してもいいのか悩んでいます。私のような考えでも医者にはなれますか?
A.どんな考えを持っていても頑張れば医者になれます。
医者という職業はとても大変で、医学部に入るまではもちろん、医者になってからも生涯勉強し続けなければなりません。日々、医療は進化し続けているからです。
医学部に入学するには難しい入試を突破することから始まります。在学中もテストやレポート作成、実習などをクリアしたうえで卒業試験に臨み、卒業見込みになってようやく年に1回の国家試験を受けられるのです。国家試験を突破して初めて医師免許が取得できます。
医師免許を取得する頃には若くても24歳で、そこから一人前になれるのは約5~10年。他の職業と比べて下積み期間が長く、女性の場合は結婚・出産の適齢期と重なります。
人体に興味がある人でも命を救いたいという人でも医者になれますが、勉強を頑張り続ける意志と覚悟が必要なのです。
どのくらいの勉強が必要?
Q.偏差値50で医学部に進学するには、どのくらいの勉強量が必要ですか?
高校2年生になってようやく希望する進路を医学部に決めました。1年生の頃はとくに勉強を頑張っていたわけではなく、2年生になってから塾に通っています。それでやっと数学の偏差値は平均値になった感じです。今まで勉強してこなかったことをすごく後悔しています。偏差値50程度の私が医学部に進学するには、どれくらい勉強すれば良いでしょうか?
A.量を考えるのではなく、一切妥協せず勉強する姿勢を大切にしてください。
たとえば、高校在学中の通知表をオール5でクリアする、中間・期末テストの席次で1位を目指すくらいの覚悟で勉強しなくてはなりません。もちろん、学校で勉強するだけではなく、難関国公立大の理系進学コースや医学部進学コースのある塾での受験対策も必要でしょう。
勉強量を気にするよりも、勉強に対して絶対に妥協しないという姿勢が一番大切です。ただ、自分なりに1日あたりどれくらい勉強するか目安を立てたいのであれば、目標から逆算して決めるのがおすすめ。各大学の入試は毎年同じ頃に開催されるので、今のうちに確認しておき、その日から逆算して目安を立てると良いでしょう。