文系卒の再受験者が大学の医学部に合格するためには、様々な工夫や努力が必要になります。医学部の大学入試では理系科目の配点の方が高いことが一般的だからです。医学を学ぶ上では科学的な知見の下地が重要で、薬がなぜ効くのか、なぜ病気になるのかといった分析能力が必須になるためです。
独自の勉強だけでは合格が難しいことが多いからこそ、配点の基準や大学ごとの傾向を知って事前に準備をすることが大切になってきますし、さらには難関な医学部受験だからこそ、効率を意識して勉強法を構築していく必要があります。
どうして理系卒が有利なのか
医学部再受験で文系卒よりも理系卒の人が有利な理由は、入試の点数配分で理系科目の方が文系科目よりも高くなっているからです。
例えば、日本医科大の場合は、英語300点、数学300点、理科400点の計1,000点となっています。日本を代表する医大のほとんどが、英語、数学、理科を必須としており、英語や数学よりも理系科目の点数配分が高いのです。中には理科が、物理や生物、化学などに細分化され、それぞれの合計点数が文系科目の倍の点数になってしまうケースもあります。
そのため、どうしても理系卒の人の得点力が高くなり、文系卒は点数配分での不利を埋めるための努力が必要になってきます。
対策1:自己強化を図ること!
医学部に合格するためには、自分の学力を向上させることが必須になります。なぜなら医学部受験の競争率は高いだけでなく、入学後の勉強についていけるだけの基礎学習能力がないと授業についていくことが危うくなってしまうからです。
理系科目という苦手分野を克服するだけでなく、1つでも多くの得意科目を生み出す必要があり、理系の勉強は必須になってきます。
苦手だからといって理系科目を避けようとすれば、それだけ他の受験者と差ができてしまうため、率先して学んでいくことが大切になります。
対策2:合格できる大学を選ぶ!
理系科目の点数配分が高い大学が多いため、文系科目の配点が高く、合格する可能性が高い大学は貴重になります。一般的な医学部受験となれば、理系卒で得意科目が多い方が合格率で多数派になるため、文系卒の合格は非常に困難になります。
そのため、まずは文系の学生を多く受け入れている医学部について情報を収集する必要があります。志望校自体が大きく絞られる可能性も高いため、早めに対策をしなければ受験までに準備が間に合わなくなる可能性があります。
国立大と私立大でのセンター試験
医学部受験をする上で大切になってくるのが、センター試験です。国立大学はセンター試験突破が受験の基本になりますが、私立大学の一般入試の場合はセンター試験無しでも受けられるケースが多くなっています。センター試験対策をしなければ受験勉強に集中できる時間を増やせるため、私立大学のみに絞って受験をする学生も多いとされています。
私立大学の中でセンター試験がない大学として、順天堂大学(一般入試)や東邦大学などがあります。
情報収集が鍵になる
私大でも一般入試とセンター試験の併用を行っているケースもあります。情報収集の際に見落としがあると、勉強の方法や科目などの方向修正自体が間に合わなくなる可能性が高いため、細部まで確認を怠らないようにする必要があります。
一般入試とセンター試験のどちらに的をしぼるのかを、情報収集の段階ではっきりさせておくようにしてください。
センター試験が必須なケースも
私立大学の中でも、実学教育を教育の根幹としている産業能率大学では、センター試験を義務付けています。
希望する大学でセンター試験の受験が必須かどうか、各大学の入試要項などにも記載されていますので、しっかりと事前調査をしておきましょう。
産業能率大学 公式サイトはこちら
http://www.sanno.ac.jp/
対策3:圧倒的に点数を取れる文系科目作り
理系科目の勉強を行い弱点の補強することは必須ですが、「得意な文系科目で得点を多く取れる」ということをしっかり認識することも大切です。理系の方が点数配分が高いといっても、3分の1程度は文系で稼げるケースは珍しくないです。
文系で点数をとっておけば、他の科目が若干低くても平均点を上げることができます。
小論文などでは文系が有利に
得意分野の文系科目をブラッシュアップをしておけば、筆記試験だけなく小論文や面接などで有利になるケースが多いこともポイントとなっています。医学部受験では医師としての適正を図るための小論文試験を設けている大学が多くあります。
2次試験で初めて小論文が出てくるケースもありますが、一次試験で出てくる場合もあります。小論文の内容も入学できるかどうかに大きな影響を与えるため、自分の長所をまとめ、今後の人生にどう生かせるかを真剣に考えておいた方がよいでしょう。
過去問で実践してみる
大学によっては、過去問を公式サイト内に掲載している大学もあります。
一部の大学の小論文の内容をご紹介しますので、一度どんな出題があるのか確認するといいでしょう。
・平成28年度昭和大学医学部地域別入学試験(二次試験)小論文問題
「日本百科全書(小学館)によれば、国民病とは「国民の多数に蔓延(まんえん)して体位・体力を低下させ、生産性を減退させるなど、社会に悪影響を及ぼすような病気」と定義されています。第2次世界大戦後しばらくは、感染症である結核が国民病といわれていました。現在、結核は克服されていますが、いくつかの疾患が国民病とされています。あなたが考える国民病を1つ挙げて、それが社会に与える影響とその対策について述べなさい。」
参照元:昭和大学 公式HP http://www.showa-u.ac.jp
平成28年度 群馬大学 医学部 医学科
推薦入試 小論文問題
参照元:群馬大学 公式HP http://www.gunma-u.ac.jp/
志望する医学部の合格はいろんな問題を解くところから始まっている
ただ、やみくもに過去問をすればいいというわけではありません。 志望している医学部の過去問だけでなく、類似している他大学の医学部の過去問の勉強することでさらに学力アップを図れるでしょう。しかし、医学部合格に近づける情報は医学部専門予備校が保有しています。夏期講習でも冬期講習でも、一度通ってみると専門予備校の生徒の学力に驚くはずです。下の「本気ならココ!医学部専門予備校まとめ」には、合格率の高い厳選した医学部専門予備校のみ掲載しています。医学部専門予備校選びに悩んだら、ぜひ参考にしてみてください。
得意な分野で資格取得する
なぜ文系から医学部を目指したのかについて、採点者や面接官の重要な関心ごとになってきます。自分の経験を生かす意味でも、得意科目を磨きなおすことが大切なのです。また、医学部入学を目指すのであれば、資格試験にある英語の英検1級などの資格をとっておくと有利になることもあります。
実際にはどのような評価をされるのか?
福岡大学では、英検やTOEFL、TOEICなどの資格・得点などで試験のみなし得点を得ることができます。資格を持っていたとしても入試をうけることもできますが、その際は得点の高いほうが実際に入試の合否に関わる点数として反映されます。
詳細は、福岡大学の入試情報サイトをご確認ください。
参考:「福岡大学 入試情報サイト http://nyushi.fukuoka-u.ac.jp/qa/」
順天堂大学では、国際性豊かな医師の育成に力を入れていることから、新しい入学試験方式を採用しています。英語資格・検定試験である「TOFEL」「IELTS」「英検」の成績が評価されます。
対象は一般入学試験(B方式)となっていますので、詳細は順天堂大学 医学部サイトの入学案内をご確認ください。
参考:「順天堂大学 医学部 http://www.juntendo.ac.jp/med/」
対策4:医学部再受験が得意な予備校などに通う
文系から医学部への再受験のハードルは高いだけでなく、一人で参考書などで勉強をしていても、自分がどの程度の位置にいるか、把握することが難しいという難点があります。独学で勉強を行った場合、学力の向上にいたるまでのスピードも人それぞれです。定期的に受ける模試だけでは自分の学力を把握することは難しいので、再受験が得意な医学部予備校に通って、医学部入試教育の専門家のもとで学んだ方がよいとされています。
予備校に通うメリットとは
医学部予備校に通うことは苦手科目のカバーをしやすいことが最大のメリットとなっていて、それは平均点を高くするポイントになってきます。
また、実際に医学部受験をした人からの情報などが伝わってきやすいのも特徴です。合格に必要な受験勉強のノウハウが身につきやすいだけでなく、教育機関への疑問や質問、回答も集まってきます。
実際に文系卒で医学部に入学できた人と会える可能性もあります。ブログなどで読むのと違い、実際の大学情報をえられることは魅力です。