浪人生に必要なのは、勉強スケジュールを立てること。高校までは学校のカリキュラムに沿って勉強していればよかったのですが、浪人生は合格に必要な勉強を自分で考えて遂行する必要があります。医学部に合格するための勉強スケジュールの立て方について見てみましょう。
「合格には1日何時間の勉強が必要か?」と考える
合格に必要な勉強量を割り出し、1日に何時間の勉強が必要か考えましょう。ただ単に「1日10時間勉強する」という時間基準の考えではいけません。大事なのは勉強時間ではなく、その時間でどれだけの知識が身についたかです。
合格ラインに届くためには受験当日までに何を身につけるべきか、それには何時間必要なのかを考えたうえで、スケジュールを立てていきます。最初のうちは自分が1日にどれだけの勉強ができるか、様子を見ながら計画を調整していきましょう。
勉強スケジュールの立て方
浪人生は現役生と比べて時間の制約が少ないため、計画を立てないとどうしてもだらだらしてしまいます。順序立てて勉強スケジュールを立てるようにしましょう。
1.自分の位置を確認する
まずは自分の今の学力と志望校の難易度から、自分にどんな勉強が必要なのか考えます。何が足りなくて落ちてしまったのか、現役時代の受験結果も精査してみてください。得意科目の実力はキープしたうえで、苦手科目をどこまで引き上げるべきか考えることも重要です。このとき、苦手科目を完璧にしようとすると破綻するため注意を。
2.おおまかな計画を立てる
自分に必要なものがわかったら、大雑把な計画を立てていきます。まずは月ごとの目標だけでも構いません。かえって数ヶ月後までスケジュールを立てようとすると、どこかで無理が生じます。「5月にこの問題集の1周目をやり、6月に2周目を行う」ぐらいで大丈夫です。頭の中に思い浮かべるだけでなく、忘れず紙に書いておきましょう。
3.自分の勉強ペースを把握する
どんなに完璧なスケジュールを立てても、それを遂行できないのでは意味がありません。自分の勉強ペースを把握して、無理のないスケジュールか検証する必要があります。逆に簡単すぎるペースだった場合、もっと負荷を上げるようにしましょう。日によって集中力は異なりますし、単元によっても進行ペースが変わるもの。平均的なペースを見極めることが重要です。
4.計画を週単位・1日単位に落とし込む
ペースがわかってきたら、計画を週単位、1日単位で落とし込んでいきます。1週間で問題集を30ページ、1日で5ページというように、詳しいスケジュールを組んでみてください。スケジュールを完璧にこなすのは難しいため、予備日を設けるなどして余裕のある計画を立てること。だからといって緩すぎるスケジュールにするのもよくありません。「これぐらいなら達成できそう」と感じるくらいの量に設定します。
勉強スケジュール遂行のコツ
計画はどんどん調整する
100%計画通りに進めていく必要はありません。無理があると感じたら、調整を加えていきましょう。逆に簡単すぎるようなら勉強量を増やしていきます。おすすめは、自分にとって105%~110%と思えるような量を設定すること。通常ペースより少し多めの負荷をかけることで、勉強速度は徐々に上がっていきます。
勉強記録をつける
記録をつけていくことで自分の足跡が目に見えるようになり、モチベーションを維持しやすくなります。翌日行うことも一緒にメモしておけば、より精度の高いスケジュールを立てられるはずです。勉強記録を残すことは、受験直前に見返すことで「これだけ勉強したんだ」という精神的安定にもつながります。
復習の時間も確保する
計画を重視するあまり、完全に理解しないまま次の単元に進んでしまうのでは意味がありません。ときには復習の時間も織り込むようにします。特に大事にしたいのは模試の復習。回答が返ってきたらどこを間違えたのかじっくり検証しましょう。
計画遂行に予備校を活用しよう
浪人生は予備校を活用するのも有効な手立てです。予備校で組まれているカリキュラムを参考に、その進度に合わせて勉強することで1年間を効率よく使うことができます。予備校に通いながら勉強することで、計画の進捗も見えやすくなるでしょう。
時期に応じて模試を受けていれば、自分の定着度を確認しながら進めることも可能です。生活リズムの安定化にも役立つため、人によっては予備校に通うことが医学部合格の近道となり得ます。
浪人生のスケジュールの目安
浪人生は、現役生にはない時間を受験勉強に使えるのが利点です。ただし、入試までの学習計画をしっかりと立てなければその利点を活かしきれません。予備校に通うのは、スケジュールを管理して最適なペースで試験対策を進めるのにも有効です。時期によってやるべきことをしっかりと把握し、入試までの時間を無駄なく過ごしましょう。
4~6月
4月は気持ちを新たに勉強に取り組みはじめる土台をつくる時期。まずは受験勉強の計画を立てましょう。ここで意識したいのは苦手科目。点数が伸び悩んだ部分は伸びしろがあるともいえますから、計画ではここの対策を最優先にします。
5月はゴールデンウィークで中だるみしてしまいがちです。かといってこの時期に追い込みすぎるのはペースを保つためにも禁物ですから、計画通りのペースを維持するよう意識してください。
2カ月経った6月は、計画通りに進んでいるかを客観的に判断し、予定より遅れているようであれば、計画の見直しをしましょう。
注意点
- オーバーワークにならないよう、じっくりと取り組めるような計画を立てる。
- 実践してみて、こなせない量であれば計画を見直す。
- 計画通りに進んでいない場合、ノルマをこなすようなやり方をしない。
- 計画がこなせない場合、問題は計画内容か、取り組み方なのかを客観的に分析する。
- 長期休暇であっても、特別なことをしない。
- 受験生だからといって、一日中勉強している必要はない。
7~9月
7、8月は各教科の基礎学習が身に付けたい時期です。
ここでは理科と社会に重点を置くのがおすすめ。現役生は試験範囲が終わるのが3年の夏頃なので、浪人生はこの時期に7~8割程度の得点が取れるぐらいにしておくと、現役生に差が付けられるチャンスに変えられるからです。
9月頃からは受験標準問題集、センター試験や志望校の過去問題集に取り掛かる人も出てきます。しかし、基礎が完全に習得できていない科目があれば、見切り発車をせずじっくり取り組んでいきましょう。
注意点
- 夏休みもこれまで通りの計画を維持してペースを乱さないことを意識。
- 計画の進捗が遅れている、手つかずの部分がある場合は夏休みを利用する。
- 浪人生、多浪生でも基礎勉強を怠らない、軽視しない。
- 基礎を習得していない段階で実践問題に進まない。
- 周りが過去問題集などに進んでいても、焦らず流されない。
- 計画通りに進んでいなければ軌道修正をする。
10~11月
模試の点数がなかなか上がらなかったり、モチベーションを維持したりできずに悩む人が多い時期です。原因は、基礎学習が終わって次にやるべき目標が分かっていないことが大きな理由。こうなると、やる気ができない自分を否定し、合格することは無理だ、とマイナス思考になってしまうため注意してください。
この悩みを克服するために、「これさえやっていければ良い」というポイントを明確にすることが大切です。改めて計画を見つめつつ苦手の対策、見落としていた部分に着実に取り組んでいきましょう。
注意点
- 焦りや不安など自分の悩みの原因を突き止め、気持ちを切り替えて適切な対処を考える。
- モチベーションが維持できないのは道に迷っているだけと考え、自己嫌悪に陥らずポジティブになる。
- 「これだけをやっていけば良い」を明確にし、具体的な学習計画を立てる。
- 志望校の問題パターンに慣れ、志望校レベルの実力を付けていくことを意識する。
12~1月
入試間近のこの時期は、センター試験、二次試験とも問題形式に慣れることが最も重要です。
国公立志望であれば国語と社会に重点を置いて勉強しましょう。私立大であれば数学、理科、英語の総復習に時間を当てます。問題集を使って基礎からさらいましょう。
また、センター試験、二次試験ともに過去問演習を完璧になるまでやりこなします。特にセンター試験は、マークシート形式で時間制限も厳しいため、ここで形式に慣れておかないと悲惨な結果になってしまうことも。最低でも5年間分の過去問演習を解いておきましょう。
注意点
- 国公立大志望の場合、2次試験対策は中断し、1月中旬に控えたセンター試験対策に注力する。
- 私立大志望の場合でも、センター試験比率が高い大学や足切り点数が高い大学であればセンター試験対策は早めに進めておく。
- 入試直前は過去問演習を繰り返し、新しい問題には手を出さない。
- 実力を伸ばすことよりも本番で失敗しないことを意識して準備を整える。
2月~合格まで
2次試験対策を中断してセンター試験対策に没頭すると、計算力や記述力は低下してしまいます。センター試験が終わったら、すぐに2次試験対策を再開してください。
また、全教科の総復習を行い、2次試験の過去問演習も繰り返し解いて完璧にします。不安を感じる部分は、学力に限らずくまなくつぶしておくことが大切です。体調管理はもちろんですが、試験会場までのアクセス方法を調べ、可能であれば下見にも行っておきましょう。不安要素を取り除き、本番にリラックスして臨むことが合格への近道です。