「医学部は授業料が高額」ということは、皆さんご存知のことでしょう。
授業料が高いということが、医学部受験に対して前向きになれない理由であるとしたら、それはもったいないことです。
ここでは、医学部の授業料や学費の免除について解説していきます。 医学部にいきたいけど、授業料がいくらかかるのか、奨学金はあるのかなどを気にしている方は目を通してみてください。
医学部合格のための塾・予備校について
医学部に入学するためには、受験勉強にまず費用がかかるといえます。
もちろん高校の授業だけ受け、あとは自習で合格できる受験生もいることでしょう。しかし、そのような受験生は自己管理と効率的な学習方法を体得している一握りの存在であり、多くの受験生はそうではありません。多くの医学部受験生は予備校に通うことになるのではないでしょうか。医学部を目指す受験生の予備校の選択肢としては、大手予備校か、医学部専門予備校があります。
大手予備校は生徒数が多く、大きな講義室で一斉授業をするので費用は高額ではありません。
一方で、医学部専門予備校は少人数クラスで手厚い指導受けることができるため、その分受験生一人あたりの費用は高額になります。 自己管理が苦手な方や、医学部予備校がもっている受験に関する専門的な情報が欲しい方、お金を捻出できる方などには、医学部専門予備校がいいといわれています。
一般的な大学の他学部と医学部との授業料の違いとは
一般的な大学と医学部では、まず大学に通う期間が異なります。
一般的な大学は卒業までに通常は4年ですが、医学部は6年制なので6年間かかるのです。ここで、少なくとも2年分は医学部の方が一般的な大学の他学部よりも費用が高いことになります。国立大学の場合は入学料や年間の授業料は一般の大学他学部と変わらないので、単純に2年分の授業料が上乗せされる計算になります。
受験にかかる費用や、私立大学の学費については、こちらの記事をご覧ください。
https://www.doctor-naruniha.com/basic_infomation/howmach.html
特待生制度や学費の免除ってあるの?
医学部の授業料や一部の納付金のある大学では、合計の学費は一般的な大学と比べて高額になります。
ただ、一部の大学の優秀な学生には奨学金や特待生制度などがあります。
医学部に進学する上でかかる学費や費用を軽減する方法として、助成金や奨学金を借りるという手段があります。
その手段の一部をご紹介したいと思います。
独立行政法人 日本学生支援機構
独立行政法人 日本学生支援機構は、学生が安心して働けるようにと設立されました団体になります。
奨学金には一種・二種などがあり、特定の医療機関で一定期間働くことで返済が免除されるものもあります。
修学資金制度
修学資金は地域によって違いが出てきます。こちらでは東京に焦点を当てて解説していきたいと思います。
東京都福祉保健局のWebサイトには次のような記述があります。
「東京都地域医療医師奨学金制度(一般貸与奨学金)は、「将来医師として、東京都の地域医療に貢献したい」と考えている医学部生(5年生、6年生)に、東京都が奨学金を貸与する制度です。」
引用元:東京都福祉保健局
(http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/iryo/sonota/tiikiiryoushiensenta/isishougakukin/ippanshougakukin/index.html)
こちらの修学資金は、東京都が指定する医療機関で医師として従事した場合、返金が免除されます。
ただし、一部条件などがありますので、修学資金の利用を考えている方は、一度各地域の条件などを確認する必要があります。
また、人数や貸与金額に制限がありますので、就学中の学生が利用する場合もあります。
各大学による奨学金
大学からの奨学金は、各大学によって違いがありますが、成績が優秀な学生のための制度などがあります。返済義務の無い給付型のものから貸与型のものもあります。 こちらの制度は、入学当初から当てにするケースはあまり多くはないようです。
教育ローン
金融機関や日本公庫などから学生ローンとして借り受けることのできる種類のものです。
入学前に必要な入学金や学費などを借りられ、借り入れには条件がありますが、奨学金と併用して利用できるのも特徴の一つになります。
また、入学前に借りられることから、前記の授業料を借り入れるために利用することもあるそうです。
初年度にいくらかかるのか
私大の場合
私大の場合、やはり学費が高くなる傾向があります。2018年度に発表された各大学の公式サイト情報によれば、初年度の費用がもっとも安いのが国際医療福祉大学で460万円ほど。反対にもっとも高いのが川崎医科大学で約1200万円です。
寮制の医科大学の場合は初年度費用に寮費や食費などが含まれていることもあるため、内訳をあらかじめ確認しておくことが大切です。また、6年間の総額費用と初年度の学費に相関関係はないため、初年度の学費が高い医科大学であっても、6年間の学費をみるとほかより安いケースもみられます。
大学名 | 費用 |
---|---|
慶應義塾大学 | 約383万円 |
順天堂大学 | 約290万円 |
日本大学 | 約642万円 |
国立の場合
国立標準額:
http://ishin.kawai-juku.ac.jp/university/schoolexpenses/
国立の医学部は東京大学を筆頭に超難関といわれる大学ばかりです。競争率が高い大きな理由は、私学にくらべ学費が安い点にあります。私学では数千万円単位で学費を工面する必要があります。経済的に余裕があるか、奨学金を活用しないと私立の医大で学ぶハードルは高いといえるでしょう。そのため、国立医大は非常に狭き門となるのも事実です。
また、国立大学医学部の場合は奨学金にくわえ、「入学金や授業料の免除制度」も整えられているところが多いです。優秀な成績をおさめていればさらに学費をおさえることができます。
大学名 | 費用 |
---|---|
国立大学の場合(一律) | 約81万円 ※在住状況により入学金が変動する可能性があります。 |
卒業までにいくらかかるか
私大の場合
私大の場合は安くても、2000万円ほどはかかると考えましょう。これらのほか、別途に教科書代や臨床実習にかかる費用、予防接種代なども加算されることが多いです。高額な場合は、5000万円近くの学費を要する医学部もあり、寮生活をする場合は高額になる傾向がうかがえます。
しかし、私大も学費減免制度を設けているところがほとんど。例えば、慶應義塾大学では成績上位者に200万円/年を給付。毎年、成績上位をキープすれば800万円ほどが戻ってくる計算になります。
大学名 | 費用 |
---|---|
慶應義塾大学 | 約2200万円 |
順天堂大学 | 約2100万円 |
日本大学 | 約3340万円 |
国立の場合
国立標準額:
http://ishin.kawai-juku.ac.jp/university/schoolexpenses/
国立大学の場合は一律で学費が定められているため、6年間の総費用は一律で約350万円です。その内訳も決まっており、年間の授業料は54万円ほどと定められています。そのほか、公立大学も国立の次に学費が安くなっています。居住している県の大学であれば学費減免が受けられるケースもあります。
また、防衛医科大学であれば学生は入学と同時に国家公務員扱いとなるため、学費は無料となるうえ、毎月11万円が支給されます。卒業後の進路には制限がありますが、経済的なメリットは大きいといえるでしょう。
大学名 | 費用 |
---|---|
国立大学の場合(一律) | 約350万円 |
院進でいくらかかるのか
私大の場合
医学部の履修を終えて大学院の修士課程に進む場合、年間の学費は150万円前後となることが多いようです。 順天堂大学院の場合は、年間の授業料は75万円ほどと院によってことなることもあるため、事前に調べておきたいところです。
また、学内進学の場合は入学金や施設関連費用の支払いが免除されることも。日本大学医学部の場合、内部進学であれば入学金20万円と施設設備資金50万円は支払い不要となります。
大学名 | 費用 |
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慶應義塾大学(大学院) | 約140万円(初年度) |
順天堂大学(大学院) | 約75万円(初年度) |
日本大学(大学院) | 約140万円(初年度) |
国立の場合
国立の大学院は大学医学部と同じ金額の学費となります。そのため、年間の学費納入額は54万円ほど。さらに大学院生を対象とした奨学金制度や、経済的援助が必要な学生向けの減免制度をも設けている院もあるため、事前に確認しておきましょう。大学独自の制度のほか、公共財団が基礎医学を履修する院生向けの奨学金を用意している場合もあります。
大学名 | 費用 |
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国立大学の場合(一律) | 約54万円 ※在住状況や内部進学などにより入学金が変動する可能性があります。 |
学費や授業料の少ない大学の選び方
医者になるためには、私立の大学や国立の大学などに進学することが主とされていますが、中には国の行政機関が管轄している大学もあります。
中には産業医として働くことが条件で、授業料や学費などの免除される場合のものや、卒業後に自衛隊医官として自衛隊に勤務して働くものもあります。
どれも制限や条件がある大学ですが、医者になるという夢を諦めるよりも一度回り道をして経験を積むことも大事かもしれません。
医学部を卒業して医師になるまでの費用
こちらでご紹介したもの以外にも、医学部を卒業して医師免許を取得して医師になるまでには、多くの費用がかかります。
しかし、経済的な理由は、医学部受験を断念する理由ではないということがご理解いただけたのではないでしょうか。自分の将来を見据え、1番行きたいと思える大学の医学部に挑んで頂ければと思います。
また、経済的に浪人するわけにはいかないという場合には、ある程度費用をかけて、専門の予備校に通い現役で合格することも手段の一つなのかもしれませんね。